焼却処理の流れと放射性セシウム対策

焼却処理の基本的な流れ

下の図の基本的な流れを見るとわかりやすいですが、放射性セシウムは焼却時、800℃以上の高温で気体又は液滴となり、排ガスと一緒に移動します。しかし、その後、200℃以下に急冷されることで、固体状態となって、微粒子状のばいじんに吸着します。

ばいじんに吸着した放射性セシウムは、排ガス処理装置に付けられたバグフィルターによって、ばいじんごと捕集・除去されます。

ばいじんの平均粒径は、数十マイクロメートル(μm)です。
しかし、バグフィルターでは0.1マイクロメートル(μm)レベルの粒子をもカットできることから、ほぼ完全に放射性セシウムを除去できます。

このようにバグフィルターで、放射性セシウムを除去できるため、バグフィルターから先には、きれいになった排ガスだけが流れていきます。

そして最後にバグフィルターで除去したばいじんは、飛灰として、しっかり飛び散らないように管理をして、処分をしていくということが全体の流れです。

ポイント

実際に放射性セシウムを含む廃棄物の焼却が行われている多くの施設で、排ガスに含まれる放射性セシウム濃度の測定の結果では、放射性セシウムは不検出となっています。


※上図は焼却施設での廃棄物処理の一般的な流れを示したものです。

焼却炉内での放射性セシウムの動き

放射性セシウムが付着した廃棄物を焼却炉の中に入れると、800℃以上の高温で放射性セシウムの大部分は気化・液化し、排ガス、ばいじんとともに移動します。

気体・液滴となってばいじんとともに煙道内を流下した放射性セシウムは、ガス冷却室で排ガスが200℃以下に急冷される過程で固体となり、ばいじんに吸着します。(塩化セシウムの沸点が1,300℃、融点が646℃)
そして、バグフィルター内のろ布の表面で、ばいじんごと放射性セシウムは捕集されます。
(出典:(独)国立環境研究所提供資料より)

排ガス中のばいじんの平均的な大きさは数十マイクロメートル(μm)ですが、バグフィルターは0.1マイクロメートル(μm)レベルまでの微粒子を除去可能な装置であり、ほぼ完全にばいじんごと放射性セシウムを除去することができます。

バグフィルターで捕集された微粒子状の灰は定期的に払い落とされ回収される仕組みとなっています。そのため、バグフィルターに放射性セシウムが高濃度で付着することはありません。

ポイント

バグフィルターは、付着したばいじんを定期的に払い落とす仕組みとなっており、24時間連続運転を行っても、通常3~5年程度ろ布の交換なしに使用し続けられるものです。また、ばいじん計を用いて排ガス中のばいじんを常時監視するなど、バグフィルターに異常がないことを確認しつつ運転します。

※塩化セシウムの沸点:1,300℃、融点:646℃
出典:(独)国立環境研究所提供資料より

Q.不溶性セシウム微粒子もバグフィルターで除去できますか?

A.固体の不溶性セシウム微粒子は、ばいじんと同様に数マイクロメートル(μm)程度の大きさであってもバグフィルターで十分捕捉することができます。また、これまでの一般廃棄物焼却施設における排ガスの測定結果からも、バグフィルターの性能は十分に確認されています。

バグフィルターの構造

バグフィルターの中には数百本程度の「ろ布」が設置されており、排ガスがろ布を通過する際にばいじん等が捕集されます。
ガス冷却室で200℃以下で固体となった放射性セシウムは、ばいじんに吸着し、バグフィルターでばいじんごと捕集され、飛灰(ばいじん)として回収されます。

バグフィルターによる放射性セシウムの除去の仕組み

バグフィルターで、新しいろ布を使用する際には、焼却開始前に、ろ布の表面に消石灰等の薬剤を吹きつけ、緻密な「一次付着層」を形成させます。これをプレコーティングといいます。

ろ布の表面では、「ろ布」「一次付着層」「焼却中に付着したばいじんや薬剤の層」により、排ガス中のばいじんや塩化水素等の有害物質をこし取って除去します。

付着したばいじん等は、一定間隔で払い落し、飛灰として回収します。払い落し後も一次付着層は残るため、捕集性能は維持されます。

バグフィルターによる放射性セシウムの除去の仕組み

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