Q&A

  • Q.なぜ指定廃棄物と通常の廃棄物を分ける基準は、
    8,000Bq/kgなのですか?

    通常の処理方法でも廃棄物処理の作業にかかる追加被爆線量が「年間で1mSv(ミリシーベルト)」を下回り、安全に処理できると計算により確認されている基準が「8,000Bq/kg」です。

    最も影響を受けやすい埋立作業者でも年間追加被ばく線量を
    「1mSV(ミリシーベルト)以下」に

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  • Q.8,000Bq/kg以下の廃棄物は誰が処理するのですか?

    廃棄物処理法に基づき、同法の基準に従って、既存の処分場で、市町村や民間の廃棄物処理業者が処理を行います。

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  • Q.指定廃棄物とは何ですか?

    東京電力福島第一原子力発電所の事故由来の放射性物質によって汚染された廃棄物のうち、放射能濃度が国の基準(1キログラム当たり8,000ベクレル)を超え、環境大臣が指定したもの。

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  • Q.指定廃棄物の処理の流れはどうなっているのですか?

    放射性物質汚染対処特措法の基本方針により、県内で発生した指定廃棄物は当該県内で処理することが定められています。そのため、国が責任をもって各県内で安全に処理を行います。

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放射性物質汚染廃棄物の基礎知識

Q1.放射性物質汚染廃棄物とは何ですか?

A1.東京電力福島第一原子力発電所の事故によって大気中に放出された放射性物質が、風にのって広い地域に移動・拡散し、雨などにより地表や建物、樹木などに降下しました。それらの放射性物質が、私たちの日常生活の中で排出されるごみの焼却灰、浄水発生土、下水汚泥、稲わらやたい肥などに付着した廃棄物が発生しました。これらを「放射性物質汚染廃棄物」と呼んでいます。
放射性物質汚染廃棄物による、人の健康又は生活環境に及ぼす影響を速やかに低減するため、平成23年8月30日に「放射性物質汚染対処特措法(特措法)」が公布されました。(平成24年1月1日に全面施行)
放射性物質汚染廃棄物は、特措法に基づき国が処理をする「対策地域内廃棄物」、「指定廃棄物」、廃棄物処理法に基づき自治体や廃棄物処理事業者が処理をする「通常の方法で処分できる廃棄物」に分類されます。

Q2.指定廃棄物とは何ですか?

A2.東京電力福島第一原子力発電所の事故由来の放射性物質によって汚染された廃棄物のうち、放射能濃度が国の基準(1キログラム当たり8,000ベクレル:8,000Bq/kg)を超え、環境大臣が指定したもの。放射性物質汚染対処特措法第19条に基づき、国が責任をもって処理します。
【主な指定廃棄物の種類】焼却灰、農林業系副産物(稲わら・たい肥)、下水汚泥、浄水発生土等

Q3.対策地域内廃棄物とは何ですか?対策地域はどの市町村ですか?

A3.環境大臣が指定した福島県内の汚染廃棄物対策地域内にある廃棄物です。通常よりも特別な管理を行いながら処理を行う必要があるため放射性物質汚染対処特措法第15条に基づき、国が責任をもって処理します。

※:その地域内にある廃棄物が特別な管理が必要な程度に汚染されているおそれがあると認められることなど一定の要件の該当する地域
【対策地域】福島県内の楢葉町、富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村及び飯舘村の全域並びに南相馬市、川俣町及び川内村の区域のうち警戒区域又は計画的避難区域に指定されていた区域の計10市町村(2022年3月31日に田村市において汚染廃棄物対策地域の指定を解除)
【主な対策地域内廃棄物の種類】地震・津波によって生じたがれき、家屋等の解体によって生じた廃棄物等

Q4.指定廃棄物と原子力施設で発生する放射性廃棄物の放射能濃度はどれぐらい違うのですか?

A4.原子力施設で発生する放射性廃棄物は、高レベルなものは10兆Bq/kgを超え(例:使用済み核燃料等)、ガラス固体化して300m以上の深い地中に処分されます。一方、指定廃棄物のほとんどのものは8,000Bq/kg~10万Bq/kg以下(大半は8,000Bq/kg~3万Bq/kg)であり、比較すると約1億分の1程度の放射能濃度であるため、全くレベルが違うといえるものです。

Q5.なぜ指定廃棄物と通常の廃棄物を分ける基準は、8,000Bq/kgなのですか?

A5.廃棄物処理の過程で、放射線の影響を最も受けるのは、埋立処分を行う作業者とされています。この埋立作業者の年間での被ばく線量※1をシミュレーションした結果、通常の処理方法でも原子力安全委員会(現:原子力規制委員会)が示した「年間で1mSv(ミリシーベルト)」を下回り、安全に処理できると確認されている基準が「8,000Bq/kg」です※2

※1:作業者は、1日8時間、年間250日の労働時間のうちの50%(合計1000時間/年)の時間を焼却灰のそばで作業すると仮定

※2:指定基準を8,000Bq/kgとすることについては、環境大臣から放射線審議会にも諮問を行い、「妥当である」旨の答申を得ています。

Q6.ベクレル(Bq)とシーベルト(Sv)とは何の単位ですか?

A6.【ベクレル(Bq)とは】放射線を出す能力(放射能)の強さを表す単位です。
【ベクレル毎キログラム(Bq/kg)とは】廃棄物や食品など1kgあたりに含まれる放射能の濃度を表します。
【参考】食品中の放射性物質の基準値(平成24年4⽉1⽇施行):一般食品:100Bq/kg
厚生労働省が原発事故後の緊急的な対応ではなく、より一層、食品の安心と安全を確保するため、長期的な観点から、放射性物質を含む食品からの被ばく線量の上限を「年間1mSv(ミリシーベルト)」とし、これを元に設定した新たな基準値(規制値)です。(規制値を超えるものは出荷制限等がかかり、市場に流通できません)

【シーベルト(Sv)とは】放射線が人体に及ぼす影響の強さを表す単位です。
【ミリシーベルト(mSv)とは】「ミリ」は1,000分の1を表します。「マイクロ(μ)」はミリのさらに1,000分の1となります。
1シーベルト(Sv)=1000ミリシーベルト(mSv)=1,000,000マイクロシーベルト(μSv)となります。
【年シーベルト(Sv/y)とは】1年間当たりの放射線量。○○Sv/yあるいは年○○シーベルト、というように表します。人間は地球上のどこに住んでいても常に放射線を浴びたり、放射性物質の吸入や摂取をしています。
日本における1人当たりの年間平均自然放射線(宇宙、大地、食物等から受ける放射線)量は、年2.1ミリシーベルト(2.1mSv/y)です。

Q7.放射性汚染廃棄物の処理にあたっての周辺住民の放射線被ばく対策の方針はどのようなものですか?

A7.放射性物質汚染対処特措法の基本方針(平成23年11月11日閣議決定)において、”事故由来放射性物質により汚染された廃棄の処理に当っては、飛散流出防止の措置、モニタリングの実施、特定廃棄物の量・運搬先等の記録等、周辺住民の健康の保護及び生活環境の保全への配慮に関し、必要な措置をとるものとする。また処理等に伴い周辺住民が追加的に受ける線量が年間1mSv(ミリシーベルト)を超えないようにするものとするとともに、処理施設等の周辺環境の改善措置を併せて行うことにより、周辺住民の被ばくを抑制するように特段の配慮が必要である。”と定められています。

※:安全な処理のため「東京電力株式会社福島第一原子発所事故の影響を受けた廃棄物の処理分等に関する安全確保の当面の考え方ついて」(平成23年6月3日原子力安全委員会)において示された考え方を踏まえて制定

Q8.8,000Bq/kg以下の廃棄物は誰が処理するのですか?

A8.廃棄物処理法に基づき、同法の基準に従って、既存の処分場で、市町村や民間の廃棄物処理業者が処理を行います。(一部、特定一般廃棄物、特定産業廃棄物として処理しなければならないものがあります)8,000Bq/kg以下の廃棄物は、通常の処理方法でも処理等に伴い作業員及び周辺住民が追加的に受ける線量が、安全の基準である「年間で1mSv(ミリシーベルト)」を下回るため、安全に処分することができます。

Q9.放射性物質汚染対処特措法(特措法)とは何ですか?

A9.【正式名称】「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」
東京電力福島第一原子力発電所の事故により放出された放射性物質の拡散による環境の汚染への対処に関し、国・地方・公共団体・関係原子力発電事業者などが講ずべき措置について定め、人の健康や生活環境への影響を速やかに低減することを目的として、平成23年8月30日に公布、平成24年1月1日に全面施行されています。
特措法の基本方針(平成23年11月11日閣議決定)において、県内で発生した指定廃棄物は当該県内で処理することが定められています。(3.(3)指定廃棄物の処理に関する事項に記載)

Q10.指定解除とはどういう仕組みなのですか?

A10.放射能の減衰により、放射能濃度が8,000Bq/kg以下となった廃棄物は、通常の処理方法でも、技術的に安全に処理することが可能です。そのため、指定廃棄物が8,000Bq/kg以下になっている場合、環境大臣は、一時保管者や解除後の処理責任者(市町村又は排出事業者)と協議した上で、指定を解除することができるとされています。
この仕組みができた経緯としては、特措法の施行から数年が経過し、放射能濃度の減衰が見られるようになったこと、また、一部の自治体より指定を解除して通常どおり処理できる仕組みを設けて欲しいとの要望があったことから、平成28年4月28日に放射性物質汚染対処特措法施行規則が改正され、指定解除の要件や手続きが整備されました。
その手続において、国と一時保管者、指定解除後の処理責任者が協議した上で指定解除を行うとしているのは、指定解除を行うかどうかは、一律に国が判断するのではなく、指定廃棄物として指定を受けた後の経緯や各地域の状況や関係者の意向を踏まえて判断する必要があると考えられたためです。

Q11.特定廃棄物とは何ですか?

A11.特定廃棄物とは「対策地域内廃棄物」と「指定廃棄物」の総称です。

宮城県のQ&Aについて

8,000Bq/kg以下の廃棄物の処理方法について

Q1.宮城県内で検討されている処理方法は何ですか?(2020.10)

A1.宮城県では、平成28年11月に開催した第11回市町村長会議にて、県全体でこの問題を克服するために、8000Bq/kg以下の農林業系の汚染廃棄物について、様々な処理方法を評価・検討した結果「安全」に「迅速」かつ「大量」に処理を進められる方法として、全県的に調整して一般ごみとの混焼による「焼却」を行うことなどを処理方針(案)として提案しました。(広域処理とは別に、各自治体が焼却以外の方法で独自に処理することは可能)
そして、平成29年6月開催の第13回市町村長会議では、この処理方針(案)に基づき、 「焼却」の意向がある市町村は自圏域内で汚染廃棄物の処理を開始することとし、処理能力に余力を生み出すために一般ごみの受入を全圏域で協力するという提案を再度行いました。
その後、平成29年7月に開催した第14回市町村長会議での合意を踏まえて、平成30年3月より、仙南・石巻・黒川・大崎の4つの圏域で汚染廃棄物の試験焼却が順次開始されました。現在、4圏域とも試験焼却は終了し、石巻圏域は本格焼却を終了、仙南圏域と大崎圏域では本格焼却実施中、黒川圏域では堆肥化を進めています。
なお、第14回市町村長会議では各自治体が焼却以外の方法によって独自に処理を行うことも可能とされました
【焼却以外の主な処理方法】
「すき込み」:廃棄物(牧草等)を農地に戻し、反転耕を行うことです。耕作器具のプラウ等を用いて土壌を一定の深さで反転し、下層土壌を地表へと運び,廃棄物(牧草等)が含まれる上層土壌を土中に埋め込んで腐食させます。
「堆肥化」:稲わら、生ごみなどの有機性廃棄物を堆積して水分や通気量を整えることで、微生物の力により廃棄物中の有機物を分解し、肥料にすることをいいます。
「林地還元」:廃棄物(ほだ木)を林地内で自然に腐朽させ、肥培材料とする方法です。

※:ただし、暫定許容値等、農林水産省の通知に従って取り組むものに限る。

Q2.焼却時に放射性セシウムが放出され、大気中に拡散するおそれはないですか?

A2.農林業系廃棄物を焼却する際には、高性能排ガス処理装置で放射性物質をほぼ完全に除去できるため、拡散することはありません。
これまでの国内処理事例から、高性能排ガス処理装置を設置した焼却施設では、8,000Bq/kg以下の汚染廃棄物でも、8,000Bq/kg超の指定廃棄物であっても、焼却施設の排ガスからは放射性物質は99.9%以上除去され、安全に処理できることが確認できており、周辺環境に放射性物質が広がることはありません。
宮城県において8000Bq/kg以下の農林業系廃棄物の焼却を行う施設には、ダイオキシン対策などのため、排ガス中のばいじんを除去する高性能の排ガス処理装置などが備わっています。この高性能の排ガス処理装置の代表的なものを「バグフィルター」といいます。排ガス中のばいじんを除去するバグフィルターによって、放射性セシウムをばいじんごと捕まえられ、99.9%以上除去されます。こうして焼却施設の外にはきれいになった空気だけが流れるようになっています。さらにバグフィルターで捕まえた放射性セシウムを含むばいじんは、周囲に飛び散らないように適切に処理していきます。
8,000ベクレル/kg以下の農林業系廃棄物は、家庭から出るごみと同じ方法で、作業者、周辺住民のいずれにとっても安全に処理することが可能です。
しかし、宮城県では一般廃棄物との混焼(一緒に混ぜて焼くこと)によりさらに濃度を低く調整するなど、廃棄物処理法に基づく通常の処理基準に加えて、入念に対処するための基準を設定し、より一層の安全確保を図っています。

Q3.バグフィルターとはどのようなものですか?

A3.ダイオキシン対策などのため、排ガス中のばいじんを除去する高性能の排ガス処理装置の代表的なものを「バグフィルター」といいます。排ガス中のばいじんを除去するバグフィルターによって、放射性セシウムをばいじんごと捕まえられ、99.9%以上除去されます。
放射性セシウムは焼却時、800℃以上の高温で気体又は液滴となり、排ガスと一緒に移動します。しかし、その後、200℃以下に急冷されることで、固体状態となって、微粒子状のばいじんに吸着します。ばいじんに吸着した放射性セシウムは、排ガス処理装置に付けられたバグフィルターなどによって、ばいじんごと捕集・除去されます。バグフィルターの中には数百本程度の「ろ布」が設置されており、排ガスがろ布を通過する際にばいじん等が捕集されます。
ばいじんの平均粒径は、数十マイクロメートルです。しかし、バグフィルターでは0.1マイクロメートルレベルの粒子をもカットできることから、ほぼ完全に放射性セシウムを除去できます。このようにバグフィルターで、放射性セシウムを除去できるため、バグフィルターから先には、きれいになった空気だけが流れていきます。
実際に放射性セシウムを含む廃棄物の焼却が行われている多くの施設で、排ガスに含まれる放射性セシウム濃度の測定の結果では、放射性セシウムは不検出となっています。

Q4.バグフィルターのメンテナンスはどのようにするのですか?

A4.バグフィルターは、付着したばいじんを定期的に払い落とす仕組みとなっており、24時間連続運転を行っても、通常3~5年程度交換無しに使用し続けられるものです。また、ばいじん計を用いて排ガス中のばいじんを常時監視する等、バグフィルターが破損していないことを確認しつつ運転します。

Q5.燃やした後の灰はどうなるのですか?

A5.焼却施設で捕集された放射性セシウムを含むばいじんは、最終処分場で処分します。
埋め立て時には、焼却灰に含まれる放射性セシウムが外部に流出しないよう様々な措置を講じ、放流水についても非常に厳しい基準のもと徹底した管理を行います。
8,000ベクレル/kg以下の廃棄物は、家庭から出るごみと同じ方法で、作業者、周辺住民のいずれにとっても安全に処理することが可能ですが、この方法は廃棄物処理法に基づく通常の処理基準に加えて、入念に対処するための基準を設定し、より一層の安全確保を図ろうとするものです。

●最終処分場における放射性セシウム対策
ばいじん中の放射性セシウムは、水に溶出しやすい一方、土壌に吸着しやすい性質を持っています。
そのため、汚染廃棄物を埋め立てる際は、上部に不透水層等を設置して雨水の進入を防止するとともに、下部に土壌層を設置してセシウムを吸着させます。

※管理型最終処分場では浸出水は、外に漏れださないように遮水工等により外部と遮断されており、集水された浸出水は水処理施設に送られ、凝集、沈殿、ろ過等の一連の処理をした上で放流します。

Q6.運搬時に、放射性物質汚染廃棄物が飛散したり、流出することはないのですか?

A6.8,000Bq/kg以下の農林業系廃棄物の運搬時は、周囲に飛散しないための対策を行います。
具体的には、防塵のため集塵機を設置した作業テント内で廃棄物を規定の長さに裁断した上でビニール袋に袋詰めを行います。運搬車には袋のまま積載し、二重のシートで覆います。また、可能な限り文教施設や住宅地域を避けて運行することとしています。

※農林業系汚染廃棄物の焼却処理に関する住民説明会資料(大崎市・涌谷町・美里町・大崎地域広域行政事務組合)より

Q7.住民の安心・安全に向けてどのような取り組みをしているのですか?

A7.今後の処理に向けて、国・県及び各自治体は、地域の安心のため、各市町ごとに処理・処分場周辺の住民の方々への説明会の実施や、周辺環境への影響へのモニタリング(監視)の強化を行っています。
また国は、安全性についての技術的説明についての支援を行うとともに、放射能濃度が8,000Bq/kg以下の廃棄物は、通常の処理方法によって安全に処理することができますが、さらに入念に対処するため、焼却施設の煙突出口での排ガスにも放射性セシウム濃度の基準(同じ人が0歳から70歳まで、毎日その空気を吸い続けたとしても、被ばく線量が一般公衆の許容値(年間1mSv(ミリシーベルト))以下となるように設定)を定めています。

指定廃棄物の処理について

Q8.指定廃棄物の処理の流れはどうなっているのですか?

A8.放射性物質汚染対処特措法に基づく基本方針において、県内で発生した指定廃棄物は当該県内で処理することが定められています。そのため、国が責任をもって各県内で安全に処理を行います。処理の流れについては、一時保管の状態から、必要に応じて減容化(焼却など)の中間処理を行い、既存の処分場又は国が設置する長期管理施設で処分します。一時保管から収集・運搬、減容化、長期管理までの各工程において、国の定めたガイドラインに従って空間放射線量や放射能濃度など、適切なモニタリングを行い、安全管理を徹底して処理を実施します。

Q9.宮城県の指定廃棄物はどのように一時保管されているのですか?

A9.宮城県で指定廃棄物として指定されているのは、稲わら、牧草などの農林業系副産物、浄水発生土等です。稲わら、牧草は農家の敷地等、浄水発生土は浄水施設と、ほとんどが発生した施設・場所で一時保管されています。
一時保管時には、国の定めたガイドラインに従って指定廃棄物の飛散・流出、悪臭や害虫などの発生、雨水などの浸入を防ぐため、農家の敷地等では、稲わら・牧草等をパイプハウス等の中で保管、浄水施設では、浄水発生土を容器(フレキシブルコンテナ)に収納した上でテント等の建屋内で保管しており、環境省の職員が、定期的に確認しています。
これらによって、安全に保管されていますが、自然災害などの心配もあり、できるだけ早期に、より安全な方法で処理することが必要であると考えています。

Q10.中間処理による減容化とはどういう処理で、なぜ必要なのですか?

A10.指定廃棄物のうち、農林業系副産物(稲わら、牧草等)は、一時保管場所の土地の有効利用を妨げる場合や、保管状態によっては、湿った空気の流入や結露により局所的な湿潤が生じ、発酵や、腐敗にともなう悪臭の発生により、周辺環境が悪化することも懸念されます。このため、廃棄物の容量を減らすための減容化処理や、一部保管状態に劣化がみられる農林業系副産物については、必要に応じて性状の安定化処理を行う必要があります。
これらの技術を整理すると、大きく分けて焼却、乾燥、圧縮、炭化などに分類でき、減容化の方法によって異なりますが、焼却等によって、1/5~1/20程度に容量を減らすことができます。

Q11.長期管理施設をどこに作るかを決めるまでの流れはどうなっているのですか?

A11.放射性物質汚染対処特措法に基づく基本方針において、県内で発生した指定廃棄物は当該県内で処理することが定められています。環境省では、県内の既存の廃棄物処理施設をできる限り活用することを検討するとともに、指定廃棄物が多量に発生し、保管がひっ迫している県においては、国が当該県内に、地震などの災害に強く、周囲への影響を遮断する構造の長期管理施設を設置し、集約管理をすることとしています。長期管理施設を設置するための最終的な候補地の選定のためには、詳細調査を行い、安全面の支障がないこと、事業実施の観点から施工が可能かどうかについてしっかりと確認が必要です。
全体の流れとしては、市町村長会議を開催し、各県の市町村長との意見交換を行うとともに、指定廃棄物処分等有識者会議を立ち上げ、施設の安全性をしっかりと確保するための対策や、候補地の選定手順等について、科学的・技術的な観点からの検討を実施し、最終的な候補地を決定するための詳細な調査を行う場所を選定し、発表しています。宮城県については詳細調査の候補地を選定した段階にあります。現在、指定廃棄物に関する議論は凍結していますが、今後議論を再開することになれば、地質・地盤に関する詳細な調査を実施し、調査結果について有識者会議で安全等の評価を行った上で、国が最終的な候補地1ケ所を提示し、地元の方々に丁寧に説明していきたいと考えています。

Q12.詳細調査を行う場所をどのように選んだのですか?

A12.まず、利用可能な国有地・県有地を対象としました。次に自然災害のおそれがある地域や、施設の存在が、貴重な自然環境の保全や史跡等の保護に影響を及ぼすおそれがある地域を除外するなど、安全等の観点から避けるべき地域を除外しました。
さらに、一定要件を満たす観光地など地域特性に配慮すべき事項を踏まえた地域を除外し、その上で、必要な面積を確保できるなだらかな土地を抽出した上で、安心等の観点から候補地としてより望ましい土地を絞り込みました。それを有識者会議・市町村長会議を踏まえて確定した、4つの項目により評価を行い、絞込みを行いました。

Q13.経済産業省が公表した「科学的特性マップ」は、長期管理施設の詳細調査候補地の選定に影響があるのですか?

A13.経済産業省が公表した科学的特性マップ※1は、高レベル放射性廃棄物の「地層処分」に関するものです。
数万年以上の長期間にわたる安定性の観点から、一定の要件に基づいて地域特性を示したものとされています。
地層処分は、指定廃棄物の処理とは対象物や想定する構造等が大きく異なるため、公表されたマップが長期管理施設の候補地選定に影響するものではないと考えています。そのため、長期管理施設の設置方針や、既に選定している詳細調査候補地に変更はありません。

【詳細調査候補地】
○宮城県(3カ所) :栗原市深山嶽、大和町下原、加美町田代岳
○栃木県(1カ所) :塩谷町(しおやまち)寺島入(てらしまいり)
○千葉県(1カ所)※2:東京電力千葉火力発電所の土地の一部

【長期管理施設と地層処理の違い】

  長期管理施設 地層処理
対象 指定廃棄物 高レベル放射性廃棄物等
放射能濃度 指定時で8,000Bq/kg超
(高いもので数万Bq/kg(10の4乗)
固化直後のガラス固化体で
40兆Bq/kg(10の13乗)
半減期 セシウム137で約30年 ジルコニウム93で161万年や
ネプツニウム237で214万年
時間スケール 数十年以上管理を継続 数万年以上にわたる
安定性が求められる
施設の深度 10メートル程度 300メートル程度
施設の規模(面積) 地上で最大3ha(0.03km2)程度 地上で100~200ha(1~2km2)
地下で600~1,000ha(6~10km2)

※1:経済産業省 資源エネルギー庁 科学的特性マップ公表用サイト

※2:千葉県の候補地は、厳密には科学的特性マップの「好ましくない特性があると推定される地域」外。

Q14.長期管理施設からの放射線による健康影響や、台風や豪雨などにより廃棄物や放射性セシウムが漏れ出すおそれはないですか?

A14.廃棄物に含まれる放射性物質の影響を遮断するため、コンクリート壁で囲んだ地下埋設型の管理施設で埋立処分を行います。雨水や地下水などが管理施設内に浸入することを防ぎ、水が廃棄物に接触しない構造とすることで放射性物質が、外部に漏れ出すことを防止します。
埋立中は地上に屋根を設けるとともに、廃棄物を入れる度にその上を土壌で覆います。また、敷地境界線を搬入区画端から10m以上離すことによって、周辺の追加被ばく線量を年間1mSv(ミリシーベルト)を下回るようにします。
埋立終了後は上部をコンクリートと土壌でしっかりと密閉することで、雨水の浸入を防ぎます。コンクリートのひび割れ点検などを行って施設を管理します。
指定廃棄物の搬入・中間処理・埋立中はもちろん、処分終了後も、敷地周辺の空間線量率や地下水の放射能濃度を測定し、結果を公表します。また埋立処分後も長期間にわたって継続することで安全・安心の確保に万全を期していきます。

Q15.長期管理施設に使用されるコンクリートの耐久性は、どの程度ですか?

A15.管理施設に使用するコンクリートは、鉄筋コンクリート構造体の計画供用期間を参考に、長期にわたり建物の強度、水の遮断機能、放射線の遮へい機能を維持できる必要な耐久性を確保できるものを使用します。コンクリートが必要な強度を持ち、鉄筋の錆の発生を抑制する対策が講じられていれば、鉄筋コンクリート構造物は100年以上の十分な耐久性を有します。また、地中で環境変化が少ない場合、コンクリートの劣化はさらに遅くなります。
なお、100年の保管によって指定廃棄物の放射能濃度は事故発生時点に比べ約20分の1に低減します。さらに、モニタリングに加え、必要に応じてコンクリートのひび割れ点検や劣化診断等により健全性を確認し、補修等を行いながら管理します。

※出典:日本建築学会 建築工事標準仕様書・同解説5第13版。計画供用期間:躯体の計画耐用年数。大規模補修を必要としない予定期間。標準供用級:およそ65年、長期供用級:およそ100年、超長期供用級:およそ200年

Q16.長期管理施設への搬入や設置によって、風評被害が起きた場合の対応、補償はどうなるのですか?

A16.風評被害については、施設等の安全性についての正確な情報や放射線についての正しい知識を得るための情報をお伝えすることで、風評被害が起こらないようにすることが大切であると考えています。そのためにモニタリング情報の公開や、安心・安全対策についての詳細かつ分かりやすい情報の発信のために、パンフレットの作成や、環境省のホームページの充実等を展開し、正確な情報提供などの対策を講じ、風評被害の防止にむけた指定廃棄物の安全な処理について皆様にご理解を得られるよう努めていきます。

Q17.各県にある指定廃棄物を福島県において集約するべきではないですか?

A17.指定廃棄物は、一時保管がひっ迫しており、早期に処理するため、それぞれの県内で処理する方針です。この方針は放射性物質汚染対処特措法の基本方針に明記されています。福島県においても、福島県内の特定廃棄物等の処理のため、地元との調整を実施しています。原発事故により最も大きな被害を受け、復興・帰還に向けた懸命な努力を行っている福島県に、他県の指定廃棄物を持ち込むことにより、更なる負担を強いることは到底理解が得られないと考えております。このため、放射性物質汚染対処特措法の基本方針に基づき、各県内において指定廃棄物の処理を進めてまいりますので、皆様のご理解とご協力をお願いいたします。

栃木県のQ&Aについて

指定廃棄物の処理について

Q1.指定廃棄物の処理の流れはどうなっているのですか?

A1.放射性物質汚染対処特措法に基づく基本方針において、県内で発生した指定廃棄物は当該県内で処理することが定められています。そのため、国が責任をもって各県内で安全に処理を行います。処理の流れについては、一時保管の状態から、必要に応じて減容化(焼却など)の中間処理を行い、既存の処分場又は国が設置する長期管理施設で処分します。一時保管から収集・運搬、減容化、長期管理までの各工程において、国の定めたガイドラインに従って空間放射線量や放射能濃度など、適切なモニタリングを行い、安全管理を徹底して処理を実施します。

Q2.栃木県の指定廃棄物の一時保管状況はどうなっているのですか?

A2.栃木県で指定廃棄物として指定されているのは、多くが稲わら、牧草などの農林業系副産物であり、その他、ごみの焼却灰、下水汚泥、浄水発生土等があります。稲わら、牧草は農家の敷地等、ごみ焼却灰はごみ焼却施設と、ほとんどが発生した場所で一時保管されています。
一時保管時には、国の定めたガイドラインに従って指定廃棄物の飛散・流出、悪臭や害虫などの発生、雨水などの侵入を防ぐため、農家の敷地等では、稲わら・牧草・腐葉土等を丈夫な袋に入れた後土嚢などで覆った上で、遮水シートをかぶせるなど厳重に保管し、ごみ焼却施設では焼却灰を丈夫な袋に詰めて、テント等の建屋内で保管しており、環境省の職員が、定期的に確認しています。
しかしながら保管が長期化し、そのうち約120名の保管農家の方々の中には庭先の目に見える場所に保管されているケースもあるなど、その負担は大きくなっています。H29年3月に公表した「栃木県における一時保管者(農家)の意向確認結果について」では、全体の8割の方が「(なるべく)早く持って行ってほしい」という意向を示されており、自然災害による、飛散・流出リスクもあることから、栃木県における指定廃棄物の早期処理、保管農家の負担軽減は、喫緊の課題となっています。

Q3.指定廃棄物を一時保管している農家への補償はどのようになっているのですか?

A3.法律上、指定廃棄物の一時保管については、国の処理体制が整うまでの間は、当該廃棄物の占有者に保管していただくことになっていますが、指定廃棄物の一時保管にかかる追加的費用に関しては、財政的支援を行っています。なお、実質的な損害に係る補償につきましては、東京電力に対し、請求して頂くことになります。

Q4.一時保管が長期化している保管農家の負担を軽減するためにはどのような解決策があるのですか?

A4.栃木県では、数回にわたる市町長会議での議論等を経て、平成25年12月24日に長期管理施設の詳細調査候補地の選定手法を確定し、平成26年7月30日に、詳細調査候補地を公表したところです。
しかしながら、現時点で詳細調査は実施に至っておらず、栃木県における長期管理施設の整備までには相当な期間を要することが見込まれ、それまでの間は各市町での保管をお願いする状況が続いています。
このため、平成30年11月26日の関係市町長会議で、国が長期管理施設を県内1ヶ所に整備する方針は堅持し、特に負担の大きい農家が保管している農業系指定廃棄物については、可能な限り速やかに、中間処理による減容化や集約化等を行うこと等により、保管の負担の軽減を図ることとなりました。
具体的には、保管農家がある市町単位で、地元の御意向を踏まえ1ヶ所又は数ヶ所の暫定保管場所を確保し、農家保管の指定廃棄物を集約することになりました。
令和2年6月26日の関係市町長会議で提案した暫定集約の今後の進め方に沿って、減容化や指定解除についてのお考えを含め、県や市町の御意向や御提案を伺いつつ、暫定保管場所の選定に向けて取り組んでいきます。

Q5.中間処理による減容化はなぜ必要なのですか?

A5.指定廃棄物のうち、農林業系副産物(稲わら、牧草等)は、一時保管場所の土地の有効利用を妨げる場合や、保管状態によっては、湿った空気の流入や結露により局所的な湿潤が生じ、発酵や、腐敗にともなう悪臭の発生により、周辺環境が悪化することも懸念されます。このため、廃棄物の容量を減らすための減容化処理や、一部保管状態に劣化がみられる農林業系副産物については、必要に応じて性状の安定化処理を行う必要があります。
これらの技術を整理すると、大きく分けて焼却、乾燥、圧縮、炭化などに分類でき、減容化の方法によって異なりますが、焼却等によって、1/5~1/20程度に容量を減らすことができます。

Q6.長期管理施設をどこに作るかを決めるまでの流れはどうなっているのですか?

A6.放射性物質汚染対処特措法に基づく基本方針において、県内で発生した指定廃棄物は当該県内で処理することが定められています。環境省では、県内の既存の廃棄物処理施設をできる限り活用することを検討するとともに、指定廃棄物が多量に発生し、保管がひっ迫している都道府県においては、国が当該県内に、地震などの災害に強く、周囲への影響を遮断する構造の長期管理施設を設置し、集約管理をすることとしています。長期管理施設を設置するための最終的な候補地の選定のためには、詳細調査を行い、安全面の支障がないこと、事業実施の観点から施工が可能かどうかについてしっかりと確認が必要です。
全体の流れとしては、市町村長会議を開催し、各県の市町村長との意見交換を行うとともに、指定廃棄物処分等有識者会議を立ち上げ、施設の安全性をしっかりと確保するための対策や、候補地の選定手順等について、科学的・技術的な観点からの検討を実施し、最終的な候補地を決定するための詳細な調査を行う場所を選定し、発表しています。栃木県については詳細調査の候補地を選定した段階にあります。今後は、地質・地盤に関する詳細な調査を実施し、調査結果について有識者会議で安全等の評価を行った上で、国が最終的な候補地1ケ所を提示し、地元の方々に丁寧に説明していきたいと考えています。

Q7.詳細調査を行う場所をどのように選んだのですか?

A7.まず、利用可能な国有地・県有地を対象としました。次に自然災害のおそれがある地域や、施設の存在が、貴重な自然環境の保全や史跡等の保護に影響を及ぼすおそれがある地域を除外するなど、安全等の観点から避けるべき地域を除外しました。
さらに、一定要件を満たす観光地など地域特性に配慮すべき事項を踏まえた地域を除外し、その上で、必要な面積を確保できるなだらかな土地を抽出した上で、安心等の観点から候補地としてより望ましい土地を絞り込みました。それを有識者会議・市町村長会議を踏まえて確定した、4つの項目により評価を行い、絞込みを行いました。

Q8.「候補地の選定手法は間違いだらけ」と主張する候補地がありますがその主張は正しいのでしょうか?

A8.長期管理施設の候補地の選定につきましては、全国一律に整備されている既存の地図情報等を用いて詳細調査候補地の絞り込みを行うという一次スクリーニングが終わったのみの段階です。したがって、現地固有の情報については、今後、環境省自らが詳細調査を行い、土石流の可能性や地盤の安定性などを詳しく把握して、有識者会議での評価を得なければ、国としての最終判断はできません。候補地としての適・不適を判断するためにも、詳細調査を実施させていただきたいと考えております。

Q9.経済産業省が公表した「科学的特性マップ」は、長期管理施設の詳細調査候補地の選定に影響があるのですか?

A9.経済産業省が公表した科学的特性マップ※1は、高レベル放射性廃棄物の「地層処分」に関するものです。
数万年以上の長期間にわたる安定性の観点から、一定の要件に基づいて地域特性を示したものとされています。
地層処分は、指定廃棄物の処理とは対象物や想定する構造等が大きく異なるため、公表されたマップが長期管理施設の候補地選定に影響するものではないと考えています。そのため、長期管理施設の設置方針や、既に選定している詳細調査候補地に変更はありません。

【詳細調査候補地】
○宮城県(3カ所):栗原市深山嶽、大和町下原、加美町田代岳
○栃木県(1カ所):塩谷町(しおやまち)寺島入(てらしまいり)
○千葉県(1カ所)※2:東京電力千葉火力発電所の土地の一部

【長期管理施設と地層処理の違い】

  長期管理施設 地層処理
対象 指定廃棄物 高レベル放射性廃棄物等
放射能濃度 指定時で8,000Bq/kg超
(高いもので数万Bq/kg(10の4乗)
固化直後のガラス固化体で
40兆Bq/kg(10の13乗)
半減期 セシウム137で約30年 ジルコニウム93で161万年や
ネプツニウム237で214万年
時間スケール 数十年以上管理を継続 数万年以上にわたる
安定性が求められる
施設の深度 10メートル程度 300メートル程度
施設の規模(面積) 地上で最大3ha(0.03km2)程度 地上で100~200ha(1~2km2)
地下で600~1,000ha(6~10km2)

※1:経済産業省 資源エネルギー庁 科学的特性マップ公表用サイト

※2:千葉県の候補地は、厳密には科学的特性マップの「好ましくない特性があると推定される地域」外。

Q10.長期管理施設からの放射線による健康影響や、台風や豪雨などにより廃棄物や放射性セシウムが漏れ出すおそれはないですか?

A10.廃棄物に含まれる放射性物質の影響を遮断するため、コンクリート壁で囲んだ地下埋設型の管理施設で埋立処分を行います。雨水や地下水などが管理施設内に浸入することを防ぎ、水が廃棄物に接触しない構造とすることで放射性物質が、外部に漏れ出すことを防止します。
埋立中は地上に屋根を設けるとともに、廃棄物を入れる度にその上を土壌で覆います。また、敷地境界線を搬入区画端から10m以上離すことによって、周辺の追加被ばく線量を年間1mSv(ミリシーベルト)を下回るようにします。
埋立終了後は上部をコンクリートと土壌でしっかりと密閉することで、雨水の浸入を防ぎます。コンクリートのひび割れ点検などを行って施設を管理します。
指定廃棄物の搬入・中間処理・埋立中はもちろん、処分終了後も、敷地周辺の空間線量率や地下水の放射能濃度を測定し、結果を公表します。また埋立処分後も長期間にわたって継続することで安全・安心の確保に万全を期していきます。

Q11.長期管理施設に使用されるコンクリートの耐久性は、どの程度ですか?

A11.管理施設に使用するコンクリートは、鉄筋コンクリート構造体の計画供用期間※を参考に、長期にわたり建物の強度、水の遮断機能、放射線の遮へい機能を維持できる必要な耐久性を確保できるものを使用します。コンクリートが必要な強度を持ち、鉄筋の錆の発生を抑制する対策が講じられていれば、鉄筋コンクリート構造物は100年以上の十分な耐久性を有します。また、地中で環境変化が少ない場合、コンクリートの劣化はさらに遅くなります。
なお、100年の保管によって指定廃棄物の放射能濃度は事故発生時点に比べ約20分の1に低減します。さらに、モニタリングに加え、必要に応じてコンクリートのひび割れ点検や劣化診断等により健全性を確認し、補修等を行いながら管理します。

※出典:日本建築学会 建築工事標準仕様書・同解説5第13版。計画供用期間:躯体の計画耐用年数。大規模補修を必要としない予定期間。標準供用級:およそ65年、長期供用級:およそ100年、超長期供用級:およそ200年

Q12.長期管理施設への搬入や設置によって、風評被害が起きた場合の対応、補償はどうなるのですか?

A12.風評被害については、施設等の安全性についての正確な情報や放射線についての正しい知識を得るための情報をお伝えすることで、風評被害が起こらないようにすることが大切であると考えています。そのためにモニタリング情報の公開や、安心・安全対策について詳細かつ分かりやすい情報の発信のためにパンフレットの作成や、環境省のホームページの充実等を展開し、正確な情報提供などの対策を講じ、風評被害の防止に向けた指定廃棄物の安全な処理について皆様にご理解を得られるよう努めていきます。

Q13.各県にある指定廃棄物を福島県において集約するべきではないですか?

A13.指定廃棄物は、一時保管がひっ迫しており、早期に処理するため、それぞれの県内で処理する方針です。この方針は放射性物質汚染対処特措法の基本方針に明記されています。福島県においても、福島県内の特定廃棄物等の処理のため、地元との調整を実施しています。原発事故により最も大きな被害を受け、復興・帰還に向けた懸命な努力を行っている福島県に、他県の指定廃棄物を持ち込むことにより、更なる負担を強いることは到底理解が得られないと考えております。このため、放射性物質汚染対処特措法の基本方針に基づき、各県内において指定廃棄物の処理を進めてまいりますので、皆様のご理解とご協力をお願いいたします。

福島県のQ&Aについて

福島県内の災害廃棄物等の処理進捗状況について

Q1.福島県における災害廃棄物等の処理進捗状況はどうなっていますか?

A1.国が直轄している災害廃棄物等の処理については「福島県の災害廃棄物等の処理進捗状況についての総点検」(平成25年9月10日)を踏まえ、対策地域内廃棄物処理計画(以下「処理計画」という。)の見直し(平成25年12月26日)を行い、処理計画に基づき災害廃棄物等の処理を実施しています。平成27年度までに、帰還困難区域を除いて、津波がれきの仮置場への搬入、特に緊急性の高い被災家屋等の解体・仮置場への搬入、帰還の準備に伴って生じる家の片付けごみの一通りの回収について完了させ、その他の被災家屋等の解体及び継続的に排出される片付けごみの回収については、引き続き対応しているところです。搬入された災害廃棄物等は可能な限り再生利用を行っています。

Q2.対策地域内廃棄物の仮置場は、どこに設置されているのですか?

A2.平成29年6月9日現在、福島県の汚染廃棄物対策地域のうち田村市を除く10市町村について、各市町村に1か所から複数箇所の仮置場を設置しています。当面必要な仮置場25箇所において供用開始済であり、うち4箇所においては原状復旧済です。
対策地域内市町村/仮置場設置状況(合計:25 内4は原状復旧済)
●飯館村(1):佐須仮置場(虎捕仮置場)
●南相馬市(9):小沢仮置場、村上仮置場、塚原仮置場、角部内仮置場、浦尻仮置場、吉名第一仮置場、吉名第二仮置場、大富仮置場、神山仮置場(原状復旧済)
●川俣町(1):山木屋仮置場
●浪江町(3):棚塩第一仮置場(原状復旧済)棚塩第二仮置場 請戸仮置場
●葛尾村(1):地蔵沢仮置場
●双葉町(1):中野仮置場
●大熊町(1):大川原仮置場
●川内村(1):下川内仮置場
●富岡町(1):毛萱・仏浜・小浜仮置場
●楢葉町(6):波倉仮置場(原状復旧済)、井出仮置場、前原第一仮置場(原状復旧済)、前原第二仮置場、前原第三仮置場、山田岡仮置場

Q3.対策地域内廃棄物の仮置場は、いつ撤去されるのですか?

A3.仮置場へ搬入した廃棄物は、選別を行った後、コンクリートがら等については再生利用を行い、可燃物は仮設焼却施設へ搬出し、不燃物は既存の管理型処分場へ搬出を行うこととしています。それらの廃棄物の搬出が完了次第、仮置場を撤去し、原状復旧を行います。

Q4.対策地域内廃棄物を処理する仮設焼却施設は、どこに設置されているのですか?

A4.9市町村(10施設)において仮設焼却施設を設置することとしており、現在稼働している仮設焼却施設においては、環境モニタリング(※1)を実施し、排ガス中の放射能濃度が検出下限値未満であること等を確認している。
※1:環境省放射性物質汚染廃棄処理情報サイト

汚染廃棄物対策地域内で生じた廃棄物の処理について

Q5.汚染廃棄物対策地域内で生じた廃棄物のうち、通常の廃棄物処理法に従って処理を行って差し支えないものは、どのようなものですか?

A5.汚染廃棄物対策地域内であっても、新たな事業活動が行われることにより発生した廃棄物については、通常どおり、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)に基づき処理を行っていただけます。例えば、汚染廃棄物対策地域内において、事業活動再開のために行った在庫整理や店舗清掃等の際に廃棄することとした製品等については、その時点で事業系一般廃棄物・産業廃棄物に該当することから、廃棄物処理法に基づき処理を行うことができます。
ただし、放射性物質汚染対処特措法第23条の「特定一般廃棄物及び特定産業廃棄物」に該当するものは、廃棄物処理法に基づく基準に加え、特措法に基づきこれらの廃棄物について入念的に定められた基準に従う必要があります。
しかしながら①国による除染事業に伴い発生する廃棄物、②避難区域の見直しが行われていない地域において国や地方公共団体が発注する災害復旧事業に伴い発生する廃棄物、③平成24年4月13日より前に事業活動が行われることにより発生したことが明らかである廃棄物については、「対策地域内廃棄物」に該当することとなります。また、8,000Bq/kgを超える廃棄物は「指定廃棄物」となります。「対策地域内廃棄物」「指定廃棄物」については、特措法に基づく処理を行う必要があり、廃棄物処理法に基づく処理を行うことはできませんので、ご注意ください。

Q6.汚染廃棄物対策地域内で生じた廃棄物を、汚染廃棄物対策地域の外に搬出して処理することは法令違反になりませんか?

A6.汚染廃棄物対策地域内で生じた廃棄物のうち、一般廃棄物・産業廃棄物に該当する廃棄物を、廃棄物処理法(及びその下位法令)に基づく規制に従って、汚染廃棄物対策地域外へ搬出し、処理することは、同法には違反しません。
また、汚染廃棄物対策地域内で生じた廃棄物のうち、「対策地域内廃棄物」「指定廃棄物」に該当する廃棄物を、放射性物質汚染対処特措法(及びその下位法令)に基づく規制に従って、汚染廃棄物対策地域外へ搬出し、処理することは、同法には違反しません。

なお、警戒区域及び避難区域の見直し後に、帰還困難区域になった区域からの物の持出しについては、放射性物質汚染対処特措法や廃棄物処理法に基づく規制とは別に、スクリーニングが実施されています。このスクリーニングにより、表面汚染濃度が13,000cpm以上の物については、これらの区域外への持出しが禁止されています。一方、避難区域の見直し後に居住制限区域や避難指示解除準備区域になった区域については、スクリーニングは実施されておりません。

Q7.汚染廃棄物対策地域内で生じた廃棄物のうち、一般廃棄物・産業廃棄物に該当するものを、通常どおり廃棄物処理法に従って処理することは、安全でしょうか?

A7.安全評価により、放射能濃度が8,000Bq/kg以下の廃棄物を、通常の廃棄物について行われている処理方法で処理する場合、処理の各工程において処理作業員・周辺住民が受ける追加被ばく線量は、「東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の影響を受けた廃棄物の処理等に関する安全確保の当面の考え方について」(平成23年6月3日原子力安全委員会)において示された安全のめやすである「年間1mSv(ミリシーベルト)を下回る」ことが確認されています。そのため、8,000Bq/kg以下の廃棄物を通常どおり廃棄物処理法に従って処理することは、問題ありません。
ただし、放射性物質汚染対処特措法第23条の「特定一般廃棄物及び特定産業廃棄物」に該当するものは、廃棄物処理法に基づく基準に加え、特措法に基づきこれらの廃棄物について入念的に定められた基準に従う必要があります。なお、事故由来放射性物質の放射能濃度が8,000Bq/kgを超える廃棄物については、指定廃棄物として指定し、国が処理を行います。

Q8.汚染廃棄物対策地域内で生じた廃棄物のうち、産業廃棄物に該当するものについて、通常処理を引き受けてもらっていた処理業者からの引取拒否等により、処理ができなくなった場合は、どうすればいいですか?

A8.産業廃棄物について、通常処理を引き受けてもらっていた処理業者からの引取拒否等により、処理が難しい場合、産業廃棄物を適正に保管しつつ、処理を引き受けてもらえる処理業者を探していただく必要があります。処理業者の情報の収集については、産廃情報ネット等を活用することが考えられます。環境省としても、福島県産業廃棄物協会等と連携し、処理業者の紹介等を実施しています。

Q9.避難指示区域内から廃棄物を搬出する場合、搬出する廃棄物や車両のスクリーニングは必要でしょうか?必要な場合、どのように実施すればよいでしょうか?

A9.警戒区域及び避難区域の見直し後に帰還困難区域になった区域から持ち出す物や車両は、スクリーニング(汚染検査)を受ける必要があります。このスクリーニングにより、表面汚染濃度が13,000cpm以上の物や車両については、これらの区域外への持出しが禁止されています。現在、スクリーニングは、毛萱・波倉スクリーニング場等にて実施されています。スクリーニング会場の詳細やスクリーニングを受けるための具体的手続については、各市町村にお問い合わせください。計画的避難区域及び避難区域の見直し後に居住制限区域・避難指示解除準備区域になった区域については、スクリーニングを実施する必要はございませんが、必要に応じて毛萱・波倉スクリーニング場での実施が可能です。

Q10.汚染廃棄物対策地域内において、廃棄物の車両への積込み等の作業を行う場合、除染電離則等の労働安全衛生関係の規制は適用されますか?適用される場合、どのような措置が必要となるのでしょうか?

A10.平均空間線量率が2.5マイクロシーベルト毎時を超える場所で廃棄物(8,000Bq/kg以下)の車両への積込み等を行う場合であって、2.5マイクロシーベルト毎時を超える場所に1月40時間以上滞在することが見込まれる作業である場合には、除染電離則の「特定線量下業務」に該当するため、除染電離則が適用されます。作業場所の平均空間線量率が2.5マイクロシーベルト毎時を超えるかどうかの確認方法や、除染電離則に基づき実施しなければならない措置(線量管理や作業従事者の教育等)については、厚生労働省が公表しているガイドラインや事業者・労働者向けのリーフレット等をご参照ください。

Q11.避難指示区域内からの廃棄物の搬出のために、避難指示区域内へ立ち入ることはできるでしょうか?また、立ち入るためにどのような手続が必要でしょうか?

A11.警戒区域及び避難区域の見直し後に帰還困難区域になった区域へ立ち入って廃棄物の搬出を行う場合には、当該区域のある市町村から立入りの許可等を受ける必要があります。許可等を受けるための具体的手続については、各市町村にお問い合わせください。計画的避難区域及び避難区域の見直し後に居住制限区域・避難指示解除準備区域になった区域については、立入りの許可は必要ありませんので、通常どおり立ち入ることができます。

放射性物質の用語解説

Q1.放射性セシウムとは

A1.東京電力福島第一原子力発電所の事故により、放射性セシウム等の放射性物質が大気中に放出されました。放射性物質汚染対処特措法では、廃棄物の事故由来放射性物質による汚染の状況調査等の対象は、セシウム134及びセシウム137に限るとされています。セシウム134、セシウム137は質量数の違いにより区別され、同位体と呼ばれます。 どちらも放射線の一種であるベータ線とガンマ線を出す性質をもち、半減期はそれぞれセシウム134が約2年、セシウム137が約30年です。
原子力発電所事故時に放出された可能性のある放射性物質としては、セシウム134、セシウム137以外にも、ヨウ素131、ストロンチウム90、プルトニウムなどがあります。しかし、 ヨウ素131は半減期が約8日と短いために、現在ではほとんど存在しません。
また、平成23年に文部科学省が行った調査結果では、「プルトニウム、ストロンチウムの沈着量の最高値が検出された箇所において、仮に、50年間滞在した場合に生じる、土壌からの再浮遊に由来する吸入被ばく、及び土壌からの外部被ばく線量の積算値について、IAEAが提案している緊急事態時の被ばく評価方法に基づき計算したところ、セシウム134やセシウム137の沈着量の最高値が検出された箇所における50年間積算実効線量と比べて、非常に小さいことが確認され、 「今後の被ばく線量評価や除染対策においては、セシウム134、セシウム137の沈着量に着目していくことが適切であると考える。」とされていることから、セシウム134及びセシウム137が汚染の状況調査等の対象となっています。

※出典:文部科学省による、プルトニウム、ストロンチウムの核種分析の結果について(平成23年9月30日)

Q2.不検出[ND]とは

A2.ND(Not Detected、検出されず)とは、測定値が検出下限値未満であることの表記です。検出下限値は、ある測定法において、検出可能な(あるかないかを判断できる)最小の濃度または量のことを指します。
検出下限値は、分析機器の性能、分析に供する試料の量、計測の時間等の要因により影響を受けるため、測定条件により異なる値となります

Q3.面積あたりベクレル[Bq/m2]とは

A3.地表表面の単位面積当たりの放射能密度を表す単位です。地表1m2あたりに沈着した放射能を表します。文部科学省では、米国エネルギー省等と連携して実施してきた航空機による線量モニタリングの結果として、セシウム134及びセシウム137による汚染密度を、Bq/m2単位で、地図上(東北、関東、北陸、中部の東日本エリア)に示しています。

Q4.毎時シーベルト[Sv/h]とは

A4.1時間当たりの実効線量や周辺線量です。○○Sv/hあるいは毎時○○シーベルトと表します。実効線量を実際に測定することは難しいので、外部被ばくによる実効線量を評価する際には、ある空間での線量(空間線量とも言います)として測定可能な「周辺線量」という量を用います。周辺線量の単位もシーベルトが用いられます。周辺線量は、あらゆる姿勢や方向からその空間で放射線を浴びたときの最大の実効線量以上になるように定義されているので、周辺線量を測定しておけば外部被ばくによる実効線量を大きめに(より安全性を重視して)評価することができます。サーベィメータなどの空間線量計による測定値は、1時間あたりの周辺線量として、たとえばμSv/h(毎時マイクロシーベルト)のように表されます。

Q5.係数(ミリ、マイクロなど)[m、μ]とは

A5.ミリ、マイクロはメートルやシーベルト等の単位に付けられて、それぞれ1,000分の1、1,000,000の1を表します。記号では、ミリがm、マイクロがμで表されます。自然界や災害廃棄物から人が受ける放射線量は1シーベルト(Sv)に対して少ないため、ミリシーベルト(mSv)、マイクロシーベルト(μSv)などのように、小さな値を示す際に用いられます。1シーベルト(Sv)=1000ミリシーベルト(mSv)=1,000,000マイクロシーベルト(μSv)となります。

Q6.排気体積あたりベクレル[Bq/m3N]とは

A6.排気中の放射能濃度を表す単位。標準状態(0℃、1気圧)の排気1m3中に含まれる放射能を表します。廃棄物焼却施設などにおける国のガイドラインによる排ガスの基準(目安)はセシウム134のみであれば20Bq/m3N以下、セシウム137のみであれば30Bq/m3N以下となっています。

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